水腎症は尿管や腎臓が貯まった尿で拡張する疾患

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こどもの水腎症

suijinnsyo

水腎症は尿管や腎臓が貯まった尿で拡張する疾患です。

症状には拡張があっても問題の無いものから、治療をしなければ腎機能が低下するものまであります。


異常の発生はいつ?

主な原因は先天的な狭窄で、胎児のうちに発生しているものが大半です。

発見時期

妊娠30週くらいに産科のエコーで見つかることが増えています。胎児検査で見つかる疾患の中で最も多く、早ければ妊娠20週ぐらいで見つかることもあります。

新生児のお腹をエコーで確認する病院も増えているため、生まれてすぐ見つかることが増えています。胎児から新生児のうちに見つかるものが半数以上占めています。

大きな水腎症は、お母さんが赤ちゃんのお腹を触って気がついたり、目視で確認できることもあります。

生後6ヶ月ぐらいから1歳前後で発見されるのは、尿路感染で熱を出した時が多いです。小学生ぐらいになると腹痛で発見されることがあります。


診断と症状

診断

乳児までの水腎症は、段階で分けられており1度から4度まで4段階に分けます。

拡張がわずかで病気とはいえない軽いものを1度とします。

腎臓がボールのように膨らんで見えるものを4度とします。

4度では検査が必要で、手術が必要になることもあります。

2度3度は状況により検査をします。逆流がなければ手術になることは少ないです。

腎臓がボールのように膨らんでいると腎臓が悪いと決めつけてしまうお医者さんもいますが、赤ちゃんの水腎症は4度であっても腎機能が保たれている場合が多くあります。

腎機能はエコーでは正確な診断ができず、血液検査では右左の腎臓を別々に調べることが出来ません。

ですから、次のような検査をします。

排尿時膀胱尿道造影

排尿時の造影レントゲン検査です。

膀胱から腎臓へ尿が逆流していないか調べます。

利尿レノグラム

腎機能と尿路の狭窄を調べる検査です。

少量のラジオアイソトープを点滴しながら、左右の腎臓の働きを特殊なカメラを使い40                                 分くらいかけて調べます。

途中で利尿剤を点滴し尿路の状態も調べます。

この検査の放射線影響は、レントゲン写真一枚より少なく安全です。

排泄性尿路造影

狭窄部の形を確認する造影レントゲン検査です。

乳幼児はお腹のガスが多くてわかりづらいので、あまりしません。

症状

尿路が狭いため尿の流れが悪く、腎臓の細い管や尿が集まる腎盂に尿が貯まり腎臓が拡張して、内部構造に圧力がかかります。

負荷が腎臓の両方にかかると、損傷して腎不全になり、やがて腎機能が失われます。

  •        お腹の痛み

水腎症が急激に強くなると、腎臓が張るため神経が刺激されお腹が痛みます。

  •        お腹のしこり

腫れた腎臓がしこりとして触れます。

  •        尿路感染

拡張した尿路に尿が貯まり、細菌感染して高熱を出します。

嘔吐を伴う腹痛や側腹痛、頻尿、尿意切迫などがおきます。

  •        尿路結石

        腎臓や尿管、膀胱、尿道にできる結石です。

        結石は、腎臓や膀胱ではほとんど痛みがありません。尿管では激痛が突然起こります。

  •        腎不全

老廃物を十分に取り除けなくなった状態です。

慢性化すると、血圧が高くなったり、骨が弱くなったり、貧血になります。


腎臓

血液をろ過して老廃物を取り除く働きをしています。

赤血球を生産するホルモンの分泌や骨の発育にも関係しています。


疾患の分類

尿は腎臓から尿管、膀胱、尿道へ流れ排出されます。流れの途中に狭い箇所や流れにくい箇所があると、そこより上の尿路が拡張し水腎症が発生します。

尿路閉塞

尿路のどこかに狭い箇所があります。

完全な閉塞ではなく狭窄で、尿が流れていることが多いです。

感染や血尿が現れることがあります。成長により緩和されることが多いです。

腎盂尿管移行部狭窄

腎臓と尿管のつなぎ目が狭いものです。

約70-80%がこの疾患です。

巨大尿管症

尿管と膀胱のつなぎ目が狭いものです。

腎臓と尿管が拡張しています。

発生は少数です。

尿管瘤

膀胱の中に、拡張した尿管の先端がコブのように出ているものです。

進行性の尿管拡張症、尿路感染、結石形成、腎機能障害を引き起こします。

ひとつの腎臓が上下に分かれていて、上下二本の尿管が出ていることがあります。

尿管瘤が重複尿管の上部にあるときは水腎症も上部のみです。腎異形成の確率が高く、腎臓機能に合わせた治療をします。

膀胱尿管逆流

膀胱から集合管系へ尿が逆流します。

拡張の程度は低く自然と治ることが多いのですが、細菌が尿路の上部まで逆流するため感染が頻発します。そのため、瘢痕化、上部尿路損傷、腎機能障害のおそれがあります。

尿管膀胱移行部の先天的発育異常や弁の障害、膀胱壁内尿管のトンネル構造の発達不良、膀胱排出口の閉塞で膀胱内圧が高いことが原因です。

その他

  •        尿管壁の動きが悪いもの
  •        腎盂から出る尿管の位置が高過ぎる
  •        血管などによる外部圧迫
  •        結石や腫瘍など、後天的なもの

治療

経過観察

症状がなく腎機能が保たれている場合、定期的なエコーや尿検査、血液検査などで経過を診ます。

服薬

産まれてすぐに見つかり拡張が強いときは、尿路感染を起こす確率が高くあります。

予防として1歳くらいまで、少量の抗生物質を処方されることがあります。その他、状態により薬が処方されることがあります。

手術

尿路感染で熱を出したり、おなかを痛がっていたり、腎機能が低下してきている場合は手術が必要になります。

腎機能の他、年齢や水腎症の程度、尿が流れる状態や痛みなど、症状により手術の必要性を判断します。


手術

手術は全身麻酔で行います。

「腎盂尿管移行部狭窄症

狭窄部を切除し、形よくつなぐ腎盂形成術を行います。

腎臓と膀胱を繋ぐ尿管にステントを置いたり、腎ろうを留置します。術後、ステントは1カ月くらいで、腎ろうは1週間くらいで抜きます。

「巨大尿管症」

尿管と膀胱のつなぎめの狭いところを切除してつなぎなおします。尿管がとても太くなっている場合は尿管の形を細く整える尿管形成術も必要です。

尿管形成を行った場合は尿管の中にステントを入れておくことがあり、その場合は術後1週間で抜きます。

「尿管瘤」

経尿道的瘤切開は膀胱の中にカメラを入れて尿管瘤に小さな穴を開ける日帰り手術です。

腎臓が上下に分かれた重複尿管の場合、患児の状態と腎機能により、上半分の腎臓と尿管瘤を全て切除します。


予後

こどもの水腎症のほとんどが経過観察ですみます。

徐々に回復していく可能性が高くありますので、服薬しながらや服薬なしで定期的な検査で経過を診ます。回復に向かえば通院の間隔も開いていき、一年に一度の定期検診で良くなります。

またダウン症を持っている子の場合、2度まで回復すれば悪化することはほとんどありません。これはダウン症の特徴である低緊張は内臓にもあり、腎臓自体がとても柔らかく圧力がかかりずらいためです。

手術による合併症

出血や感染、再狭窄、尿路結石、血圧が高くなることがあります。縫合部から尿が漏れたり、尿の通りが回復しないことがあります。傷口のむくみにより水腎症が一時的に悪化することもあります。

ステントの留置で尿が漏れることを防いだり尿路の確保ができますが、尿路感染を起こしやすくなります。

経過を慎重に観察する必要があります。

長期的見通し

右左を合わせた腎臓の働きに問題がなければ普通の生活が送れます。腎機能が低下している場合には慎重な管理が必要です。


まとめ

水腎症は尿管や腎臓が貯まった尿で拡張する疾患
異常の発生はいつ?
診断と症状
腎臓
疾患の分類
治療
手術
予後

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