早産児のリスクと気をつけること

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
  • 0

SNSフォローボタン

souzan

体重が2500g以上あっても早産児は早産児です。

内臓が未熟ですから、体が大きくても正期産児とは違います。早産児の持つリスクを知りましょう。


正期産と早産

正期産

妊娠37週0日から41週6日までの出生

早産

妊娠37週以前の出生

日本では妊娠22週0日から36週6日までを早産とします。

それ以前は流産となります。

医療技術の違いから、24週以降、28週以降で早産とする国もあります。

28週未満で産まれた子は超早産児と呼びます。


早産児のリスク

早産児の持つリスクはそのほとんどが器官が未熟なための機能不全です。

その中でも、22週で産まれると体重は500g前後です。

その為、NICU(新生児集中治療室)で長期の治療が必要になります。

赤ちゃんは 小さいほど、また産まれる時期が早いほど重い障害を持っている可能性が高くなります。

たとえ34週以降の正期産に近い早産でも障害を残すこともあります。

現在では、新生児医療の進歩により、超早産児で1000kgに満たない体重で産まれた子であっても、死亡や重度の障害が残る確率は格段に減少しています。

軽度の発達の遅れや運動障害が残る割合が正期産児よりは多くなるものの、大半が正常に発達します。


未熟な器官による機能不全

早産児は出生前に肺を十分に発育させる時間がありません。その為、肺が未熟な状態で産まれてきます。その場合、保育器の中で肺が成長し、自発呼吸ができるようになるのを待ちます。

空気の入った肺胞という袋の内側を覆って、袋を開いたままにしておくのに必要なサーファクタントという物質がなかったり、不足していることがあります。

その場合、新生児呼吸窮迫症候群を発症します。

呼吸困難を起こすと、肋骨や胸骨が凹む努力性呼吸や鼻が膨らむ鼻翼呼吸、息を吐きだす際にうめくような音を出すなど、見るからに苦しそうな呼吸になるので、すぐにわかります。血液中の酸素濃度が低くなった場合は皮膚の色が青みを帯び、チアノーゼになります。

治療をしなければ、脳や他の臓器が酸素不足の為損傷し、新たな障害を起こしたり死亡することもあります。

十分なサーファクタントの産生があっても、肺の中の水分が十分に抜けない事によって、新生児一過性多呼吸を引き起こすこともあります。

超早産児では人工呼吸器管理が長引き、慢性肺疾患を残すこともあります。

早産児だから必ずNICUに入院するわけではありませんが、正期産児と比べると、生後しばらくは問題が出てくることが多くなります。

NICUがある病院では、35週までに出生した子はNICUで様子を見ることが多いようです。

新生児呼吸窮迫症候群の予防の為に産まれてすぐに治療を受けたりします。

脳(中枢神経系)

35週未満で出血すると脳幹の呼吸中枢が未熟なため無呼吸発作を起こすことが多くあります。

34週未満で出生した新生児は口の反射と飲み込む嚥下反射の統合が不十分です。そのため、呼吸と哺乳の調整が困難です。栄養がとれない場合は点滴や経管より栄養を与える必要があります。

28週未満で出生すると脳内出血を起こすリスクが高くなります。

脳出血が軽度の子の大半には何の症状も現れません。また、軽度から中度の子は正常に成長します。

脳出血が重度の子には傾眠、ひきつけ、昏睡が現れる場合があります。また、非常に重い場合、死亡することもあります。発達の遅れ、脳性麻痺、学習障害になるリスクが高くなります。ですが、最終的な神経学的発達の程度は、両親や介護者の関わりによって大部分が決まります。

積極的に、抱っこ、歌いかけ、話しかけ、読み聞かせや年齢に見合ったおもちゃで遊ぶなどしましょう。しっかりとした関わりで発達を促すことができます。

出生前後の血圧の変動や感染などにより、脳室周囲白質軟化症になることもあります。

感染

予定より非常に早く生まれた新生児には、様々な感染症から体を守るのに役立つ抗体が少ししかありません。この抗体は、妊娠後期に母親から胎児に、胎盤を通して胎児の血液中に移行します。早産児はこの移行が十分にされないまま産まれてくるので感染症、とくに敗血症や髄膜炎の発症が約4倍です。

治療で血管カテーテルや気管内挿管チューブなどの、体に入れる特殊な器具を使った場合、重い感染症を発症するリスクはさらに高くなります。

体温調節

早産児は満期産児と比べて、体重あたりの皮膚の表面積が大きいです。

寒い部屋に居たり、風通しの良い場所にいると体温が奪われてしまいます。体温を保つことが難しいので、保育器や頭上加湿器で保温する必要があります。

寒い部屋にいると、体温を上げようと代謝を上げるため栄養を消費します。それにより体重増加が難しくなります。

消化管

反射的に乳を吸おうとする行動や飲み込む反射が未熟な上に胃が小さく栄養をうまく摂れません。さらに、その小さな胃が中々空にならないので、吐き戻すことがよくあります。

飲み込むたの嚥下反射が未熟でさらに吐き戻しがあるために誤嚥の危険性もあります。

非常に早く産まれた場合、腸の一部に重篤な損傷を受け壊死性腸炎を発症することがあります。

出生後数日間は黄疸になりやすい傾向があります。黄疸の黄色はビリルビンという赤血球の正常な分解から出る黄色い胆汁色素です。

早産児は肝臓でビリルビンを血液から除く処理が遅いので、黄色い色素が蓄積して皮膚と白眼の部分が黄色くなります。

黄疸は軽度なことが多く、栄養を摂れるようになると排便によりビリルビンが出て行くので治ります。

稀に、ビリルビンの蓄積が多いと高ビリルビン血症によって核黄疸という脳損傷を起こすことがあります。

軽度の高ビリルビン血症は健康な新生児によくあることで心配いりません。

腎臓

胎児が出す老廃物は胎盤を通して、母体の腎臓で排出されます。出生後は新生児が自分の腎臓で行います。非常に早く産まれた新生児は腎臓の機能は未熟ですが、腎臓の発達にしたがって機能も向上します。

発育が不十分な腎臓では機能が限られているので、尿の濃縮や希釈の限度が低く、体内の塩分と水分の量の調整が上手にできないことが多いです。

未熟な腎臓が固定酸を排泄できずに蓄積すると、遅発性代謝アシドーシスや成長不全が起こることがあります。

代謝障害

早産児は少量づつ頻繁に授乳させます。定期的な授乳がないと血糖値が低下する場合があります。

低血糖の新生児のほとんどは、特に症状はありませんが、筋緊張の低下や食欲不振、神経過敏などの症状が出たり、元気がなくなる子もいます。稀にけいれん発作を起こすこともあります。

血液中のブドウ糖濃度を正常に保つことの難しい新生児は、ブドウ糖溶液を静脈に投与することが必要な場合がありますが、糖を過量投与されると高血糖になりやすい傾向があります。

高血糖の症状が現れることはあまりありません。

高ビリルビン血症を生じることは多いです。

小さく病的な早産児は血清ビリルビン値が低くても核黄疸が起こります。

ビリルビンが高い値になるのは肝臓の排泄機構の発達が不十分なためです。

早期に授乳すると、腸のぜん動が活発になりビリルビン再吸収が減少するので生理的黄疸の頻度や重症度が低下します。

稀に、臍の緒を切るのが遅れた場合に大量の赤血球が移行するため、赤血球崩壊とビリルビン生成が増え重大な高ビリルビン血症の危険性が高くなります。

ですが、臍の緒を切るのは遅い方が良いという見方もあります。赤ちゃんは生まれた後に胎盤から受け取る血液によって、肺の働きが助けられ呼吸困難が起こりにくくなります。また、体に蓄えられる鉄が増えることなどで貧血の予防にもなると考えられるからです。

日本では、他国に比べ黄疸になることが多いので、臍の緒を切るタイミングをどうするかは意見が分かれています。

早産児の場合、臍帯血を体内に送ることで循環の状態が早く安定するため、脳出血の予防になります。また、幹細胞が豊富な血液が輸血されることで遅発型敗血症の予防にもなることが報告されています。

心臓

在胎週数が短いほど通常閉じるはずの動脈管が開いたままになる動脈管開存が残り、心不全を起こしやすくなります。

血液

造血能力が弱いので未熟児貧血を発症しやすくなります。また基礎疾患などで凝固機能の異常が起こりやすく、その結果出血が止まりにくいこともあります。

在胎週数が短いほど未熟児網膜症が起こりやすくなります。

重篤な場合には失明することもあります。 


予後

予後は合併症の有無、重症度によって変わりますが、通常は在胎週数や出生体重が大きいほど生存率が上がります。

生存率は以下の通りです。

在胎週数が26週で90%、27週以降は95%

出生体重1250g1500gで約95%

ここ数十年で早産児の生存率は劇的に向上しました。ほとんどの早産児で長期的な予後はとても良く、正常に発育しています。

ですが、妊娠26週未満、特に24週未満で生まれた早産児には、発達の遅れ、脳性麻痺、視力異常などのリスクや死亡のリスクもあります。大半は知能が正常ですが、学習障害があるため学校で特別な援助を必要とする場合もあります。

現在の日本の周産期医療レベルでは、26週以降の出生であれば、ほとんどが生存退院できと言えます。


退院後

修正月齢

例えば、1ヶ月早く産まれた子は生後1ヶ月経ってやっと、産まれたばかりということです。

2ヶ月早く産まれた子は生後3ヶ月で通常の1ヶ月の子と同じとします。お腹にいるはずだった日数分を実際の月齢より引いて考えます。これを修正月齢と言います。

離乳食開始は通常6ヶ月ですが、2ヶ月早く産まれた子は8ヶ月から始めます。

そうやって月齢を修正して見ていきます。

早く産まれた分ゆっくり育ちます。

発育レベルに囚われず、子供の日々の成長を見守りましょう。

RSウイルス

風邪などの感染症の中で乳幼児が感染しやすいのがRSウイルスです。ほとんどの子が2歳までにかかると言われています。

大人が感染した場合、鼻風邪程度です。乳児が感染した場合、発熱、咳、鼻水の風邪症状がでます。12週間ほどで治ります。

悪化すると細気管支炎や肺炎になることもあるので注意が必要です。

早産児や、心臓、肺、呼吸器などに疾患がある場合、重症化しやすくなります。入院、時には人工呼吸器が必要になることもあります。

RSウイルス流行期にはシナジスという重症化を防ぐ注射を打つことがあります。

人混みを避ける

産まれたばかりの乳児は人混みを避け、通常1ヶ月検診までは家にいるようにします。

早産児は免疫力が低いので最初の冬を越すまでは、できるだけ人混みを避けるようにしましょう。風邪症状でも入院が必要になることがありますし、入院すればその分発達に遅れが出たりします。

基本的に外出自体を控える必要はありませんが、出来る限り健康に過ごせるように人混みを避け、周りの人たちの手洗いうがいを心がけましょう。

予防接種

早産児だからいって病気にかかりやすいわけではありませんが、重症化しやすいリスクがあります。ですから、積極的に予防接種を受けると良いでしょう。

予防接種は生後月齢で打ちます。

ただし、病気や手術、使っている薬などの影響で期間を空けなければならないことがあります。主治医やかかりつけ医と相談して接種プランを立てましょう。

体調を崩したり、病気が判明したりして中々打てないこともありますが、接種期間を過ぎてしまっても、病気の理由により公費での接種が可能な場合があります。接種可能になり次第、保険センターなどに確認しましょう。

寝る姿勢

健康な乳児は仰向けで寝かせることが推奨されています。乳児突然死症候群(SIDS)を防ぐためです。

しかし、肺に問題のある場合、横向き、時にはうつ伏せ寝を指示されることもあります。これは仰向けでは肺が十分に膨らめないためです。

  •   横向き、うつ伏せで寝かせる時には布団やマットは硬いものを使いましょう。
  •  動いて毛布が顔にかからないよう注意しましょう。
    どうしても毛布や掛け布団が動いて顔にかかるときは、着ぐるみやスリーパーを着せるなどして布団を使わなくても体温を保てる工夫をしましょう。
  • 部屋の温度を調整しましょう。
定期健診

定期的な健診を受けることで、隠れていた病気の早期発見、早期治療が可能です。また、定期的に健診を受けることで、定期的な相談ができ、一人で抱え込むリスクを減らせます。

相談

不安なことがあるときは健診を待たずに相談しましょう。

病院に行くほどではないけれど、と思うときは保険師さんに相談するのもいいでしょう。

どこに相談したらいいかわからない時、かかりつけの病院に地域連携室があるなら、そちらで相談してみましょう。

解決しない時は諦めず、市役所、病院、看護師、ヘルパー、発達支援センターなど、色々な施設や人に相談してみましょう。解決策がでたり、出来たりします。困ってることがあるなら、相談したり、掛け合ったりすることで、変わることもあります。

一人で抱え込まないで

病気について、制度について、一人で抱え込まないで下さい。

なるべく多くの人に相談して下さい。

なるべく多くの人の助けを受けて下さい。

子供の体調が安定したら、積極的に外に出て下さい。

サークルや教室に通ってみて下さい。

同じ悩み持つ人と出会って下さい。

あなたは一人じゃないのだから。


まとめ

早産児のリスクと気をつけること
正期産と早産
早産児のリスク
未熟な器官による機能不全
予後
退院後

SNSフォローボタン

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存