新生児期の甲状腺機能低下症

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新生児期の甲状腺機能低下症

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甲状腺の機能が低下する疾患で知的障害を伴いますが、早期治療で防ぐことができます。


異常の発生はいつ?

生まれた時には発生していますが症状はありません。新生児期のスクリーニングが実施されるようになり、症状が現れる前に発見されるようになりました。

日本では軽度の甲状腺機能低下症も見つけ経過を診ます。

4000人に1人の割合で発生すると言われていましたが、最近では2000人に1人は受診していると推測されます。

1020%が遺伝性で、大部分は突発的な発症です。


診断と症状

診断

すべての新生児にTSH測定スクリーニング検査をします。

中枢性のものを見逃さないために、FT4を同時に測定する地域が多くなっています。

軽度の疑いでは、2回目の採血をします。

再採血でTSHが下がりきらないときは精密検査を行います。

血液検査の結果が正常でも、症状があれば必要に応じて検査をします。

中等度から重度の疑いでは、できるだけ早く精密検査をします。

甲状腺機能の精密検査

診察

血液検査

T4  – 血清サイロキシン

FT4 – 遊離T4

FT3 – 遊離T3

TSH – 甲状腺刺激ホルモン

甲状腺エコー検査

膝のX線検査

骨の発育が遅く大腿骨遠位骨頭核が出来ていなかったり、小さかったりします。

症状

新生児期では、母親の甲状腺ホルモンが胎盤移行しているので症状はほとんどありません。母親から受け取った甲状腺ホルモンを全て使い切ると、全身の代謝が低下し症状が現れます。

     

身体機能低下

消化管の運動低下による便秘

心臓機能低下により脈が遅くなる

哺乳不良による体重減少

代謝低下によるむくみや体重増加

声帯のむくみによる声のかすれ

四肢や手足の指が短い

臍ヘルニア

筋緊張の低下や呼吸窮迫による運動発達遅延

遷延性高ビリルビン血症

発育不全

低身長

精神機能低下

よく眠る

無気力

周囲に興味がない

おとなしい

泣くことが少ない

知的障害

クレチン顔貌

まぶたがはれぼったい

鼻が低い

口が開いたまま

大きな舌

治療が無い場合や遅れた場合には症状が現れます。

適切な時期に治療を開始しても、重度の場合には症状が現れます。


甲状腺

のどぼとけの下にあり、甲状腺ホルモンを作っています。

甲状腺ホルモン(FT3・FT4)

全身の代謝を活発にし、新陳代謝を活発にします。

乳児期の脳の発達に欠かせないホルモンで、足りないと知能発達遅延や低身長の恐れがあります。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

脳下垂体で分泌され、甲状腺ホルモンをコントロールします。

甲状腺ホルモンが少なければTSHの値は高くなり、甲状腺ホルモンが多ければTSHの値は低くなります。


疾患の分類

原発性機能低下症

甲状腺の欠損や発育不全など、形態や機能の異常で甲状腺ホルモンの分泌ができないものを 「原発性甲状腺機能低下症」と呼びます。

先天性

甲状腺が無い、甲状腺無形成

甲状腺の発育が悪く小さい、甲状腺低形成

甲状腺が別の場所にあり働かない、異所性甲状腺腫

クレチン症と呼ばれる先天性甲状腺機能低下症

続発性機能低下

内分泌不全により甲状腺機能の低下が起きるもので、全体の約10%を占めます。

甲状腺ホルモンの産生や分泌をコントロールする外部システムの異常により機能できないものを「続発性甲状腺機能低下症」もしくは「中枢性甲状腺機能低下症」と呼びます。甲状腺腫を発症することがあります。

下垂体性

甲状腺の働きをコントロールする甲状腺刺激ホルモンが低下し、甲状腺ホルモンを分泌できないものを「下垂体性甲状腺機能低下症」もしくは「二次性甲状腺機能低下症」と呼びます。

視床下部性

視床下部の異常で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が低下し、甲状腺刺激ホルモンの分泌が悪くなり、甲状腺の働きが低下するものを「視床下部性甲状腺機能低下症」もしくは「三次性甲状腺機能低下症」と呼びます。

甲状腺ホルモン不応性

ホルモン分泌量は正常ですが、受容体の異常で血中のホルモンを正常に利用できない先天性の疾患です。

ホルモンが足りないと認識し、甲状腺ホルモンを増やして補うため、心臓では甲状腺機能亢進症の症状が現れたりします。

一過性

母親のヨード欠乏

母親のヨード過剰

甲状腺腫誘発物質や抗甲状腺薬、阻害型抗体の胎盤移行

低体重児


治療

新生児期に甲状腺ホルモンが不足すると、中枢神経が正常に発達できません。

早期診断、早期治療がとても重要です。

小児内分泌系専門医の指示で治療を行います。

甲状腺ホルモン剤を生涯にわたり内服します。

1日1回決まった時間に服薬し、T4とTSHの濃度を正常範囲内にします。

中度から重度の子は、生後2週間以内にレボチロキシン内服による治療を開始するのが理想的です。

永続的であると診断される場合は、合成T4製剤(チラーヂンS®)の内服による治療を行います。

再採血後に診断される子の場合、ほとんどが軽度です。生後3か月以内に治療を開始できれば問題ありません。

重度の場合は、早期治療を受けても軽い発達障害や感音性難聴になることがあります。難聴はとても軽いため、初期のスクリーニングでは発見できないこともあります。ですが、軽度な難聴でも言葉を覚えることに支障が出るので、乳児後期に再検査を勧められます。

治療開始時期が生後一年を過ぎてしまうと、IQ低下が現れます。

欧米では、軽度の甲状腺機能低下症はスクリーニングされていません。

日本では、極軽度から軽度であっても精密検査が行われ、無治療で経過観察をすることがよくあります。


予後

薬を飲んでさえいれば正常な発達がのぞめます。

3才を過ぎると、病型診断をすることがあります。

経過を含めた評価によっては休薬できる可能性があります。

休薬して異常がなければ断薬できます。断薬した後は経過観察を続けます。

重度の子を除き、早期治療をした子はDQ及びIQは正常範囲内です。


まとめ

新生児期の甲状腺機能低下症
異常の発生はいつ?
診断と症状
甲状腺
疾患の分類
治療
予後

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