新生児遷延性肺高血圧症

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
  • 0

SNSフォローボタン

新生児遷延性肺高血圧症

haikouketuatu

新生児遷延性肺高血圧症 の遷延とは、その状態が延び延びになることです。

持続性肺高血圧症と呼ぶこともあります。

予定日頃や予定を過ぎて産まれた子に起きる肺血管系の障害で、呼吸循環適応障害の1つです。

胎児と同じ肺高血圧が生まれてからも続くことで低酸素血症が起こる重い病気です。


異常の発生

通常、呼吸を始めると肺胞が広がって肺血管の抵抗が弱くなり、肺へ血液が流れやすくなります。

生まれてからも肺血管の抵抗が強く、動脈につながる右心室、右心房の血圧が高くなります。

動脈管や卵円孔を通り右左短絡が発生して、全身性の低酸素血症になります。低酸素血症やアシドーシスがさらに肺動脈を収縮させるため悪循環になり、肺高血圧が続き高度チアノーゼが発生します。

出生時にはすでに発症していることもありますし、出生後2日くらいで発症することもあります。

胎児の血流に近い状態ですから、以前は胎児循環遺残症と呼ばれていました。


診断と症状

診断

心エコー、パルスオキシメトリー、血液検査、生化学検査、動脈血液ガス分析、肺機能検査、胸部X線、心電図、肺換気血流スキャン、胸部CTなどの検査をします。

予定日頃に産まれ、低酸素血症やチアノーゼがある全ての乳児を疑います。

100%の酸素補給でも酸素飽和度が改善しない場合は、特に疑います。

チアノーゼを起こす先天性心疾患は検査の対象となります。

心エコーにより、解剖学的に明らかな異常がないのに、右左短絡や肺高血圧があれば診断が確定します。

症状

苦しくうめくような呼吸をします。

多呼吸、陥没呼吸などの強い呼吸障害があります。

高度チアノーゼや酸素飽和度の低下があります。上半身より下半身に強いチアノーゼがみられ、右腕より足の酸素飽和度が5%ほど低くなることがあります。

腕と足で脈や血圧の差はありません。

泣いたり、動いたり、処置をしたりするとチアノーゼは強くなります。

呼吸障害の程度に比べ、チアノーゼが強く現れます。

動脈管を介して右から左へシャントした血液が流れます。

三尖弁逆流による心雑音があります。。

低血圧により脈拍が弱くなり、皮膚が灰色がかってみえることもあります。


疾患の分類

原発性新生児遷延性肺高血圧症

基礎疾患がない一次性もので症例は少ないです。

続発性新生児遷延性肺高血圧症

基礎疾患に引き続いて起こる二次性のもので、ほとんどがこちらになります。

病因疾患

  •        胎便吸引症候群、呼吸窮迫症候群、肺炎、肺気胸などの肺疾患。
  •        先天性横隔膜ヘルニア、肺低形成などの肺血管床の減少。
  •        多血症など血液疾患
  •        代謝性アシドーシス、低酸素症、低体温などの代謝疾患。
  •        敗血症など感染症。
  •        胎児水腫、腹壁破裂、動脈管や卵円孔の早すぎる閉鎖など、その他の要因。

最も多い原因は、仮死や低酸素症に関係したものです。

胎便吸引症候群、肺低形成により発生することも多くあります。

母体がアスピリンやインドメタシンなど非ステロイド性抗炎症薬を摂取したことで誘発されることもあります。

酷い苦痛や呼吸困難などストレスの多い出産で誘発されることもあります。

先天性横隔膜ヘルニアや肺低形成など、肺血管床の発達が悪い場合は、重篤な病態になることがあります。


治療

病因となる基礎疾患の治療を行います。

ストレスケア

ストレスで交感神経が緊張すると、肺動脈の収縮により症状が悪化します。ですから、患児にストレスをかけないようにすることがとても重要です。

苦痛な採血などの検査、ライン確保や気管内吸引などの処置は最小限にし、鎮静剤や鎮痛剤を積極的に使用します。

酸素治療

疾患の進行を防ぐために、酸素による治療をします。

血中の酸素濃度を上げると、肺動脈が広がりやすくなります。

アンビューバッグを使ったバッグマスク換気をしたり、気管内にカテーテルを通して人工呼吸管理をします。高濃度酸素を送り、血中の二酸化炭素を少し低めに保ちます。

吸入酸素濃度は、初期は100%で行いますが、肺損傷を最小限にするために動脈血酸素分圧を5090mmHgの間を保つように調節したり、高頻度振動型人工呼吸器を使用することも多々あります。

動脈血酸素分圧が安定したら、吸入する酸素濃度を23%ずつ減らし、人工呼吸器の圧を徐々に減少させて、呼吸器を外せるようにします。

動脈血酸素分圧

動脈血中の酸素量のことです。

酸素分圧は動脈血では高く、静脈血では低くなっています。

動脈血酸素分圧の基準値は80~100mmHgです。60mmHg以下もしくは二酸化炭素分圧が45mmHg以上で呼吸不全と診断します。

一酸化窒素吸入療法

酸素治療で効果がない時には、一酸化窒素吸入療法を行うことが多くなっています。

少量の一酸化窒素ガスを加えた酸素を吸入させます。

一酸化窒素の吸入は血管内皮の平滑筋を弛緩させ、肺細動脈を広げて肺の血流量を増やし急速に改善します。効果があれば酸素に混ぜる量を徐々に減らして吸入を終わらせます。

この治療は数日かかることがあります。

体外式膜型人工肺ECMO

重症の場合は体外式膜型人工肺を使います。

感染症を起こしやすくなったり傷を作ったりと、身体に大きな影響を与え管理も大変です。ですから、現在では酸素治療で効果のない時は一酸化窒素吸入療法を行います。

それでも効果がでない場合に、体外式膜型人工肺が使用されます。

患児の血液を体外式膜型人工肺を通し、血液に酸素を加え、二酸化炭素を除去して患児に戻します。

肺高血圧症が治るまで命を繋ぐことで、生命を助けられることがあります。


予後

予後は必ずしも良好になるとは言えません。

重症の横隔膜ヘルニアや肺低形成など、先天的に肺血管床の発育が酷く悪い場合には予後不良です。

死亡率は1080%で、酸素飽和指数や基礎疾患により変動します。

生存者の三割ほどに発達の遅れ、聴覚障害、機能的障害などが発生します。

人工呼吸器が外せても、カニューラよる酸素吸入は必要なこともあります。その場合、在宅酸素療法を行います。


まとめ

新生児遷延性肺高血圧症
異常の発生
診断と症状
疾患の分類
治療
予後

SNSフォローボタン

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存